リピーターが増えない原因を現状分析してみよう
ECサイトの売上が大きく落ちていないからといって、順調とは限りません。
今回は、売上が横ばいだった犬用品EC「ナイスワン」を例に、現状分析からリピート売上の取りこぼしを発見するまでをご紹介します。
このエピソードに登場するひと

ふなだ
へノブファクトリーのシャチョー。
飼ってた犬の名前は「こじろう」(チワワ)

いぬ
悩めるEC店長(犬)。
〜前回までのあらすじ〜
「もっとたくさんの犬たちに、いぬのお店を知ってもらいたい!」
そう思ったいぬは、ナイスワンをもっと大きなお店にするため、ヘノブに相談しました。
「今のカートではできないことも多いし、思い切って新しいカートに変えた方がいいワン?」
ところが、ヘノブから返ってきたのは意外な言葉でした。
「ちょっと待って!カートを選ぶ前に、まずやることがあるよ」
↓前回のお話はこちら↓

そうだったワン。新しいカートを探す前に、
「今のお店で何が起きているのか」
「これから、どんなお店にしていきたいのか」
を順番に整理することになったんだワンね。
お店を改善していく流れは、こんな感じだったワン。
- STEP1:ヒアリング
- STEP2:現状分析 ★今回はここ!
- STEP3:市場・競合調査
- STEP4:戦略設計・ブランド設計
- STEP5:事業計画・運営体制の確認
- STEP6:ECカート選定
- STEP7:サイト構築・改善開始
前回のヒアリングでは、いぬが今後やってみたいことや、ナイスワンをどんなお店にしていきたいのかを話しました。
今回は、その希望をいったん横に置いて、まずは現在のナイスワンを数字から見ていきます。
まずは、今のお店を見てみるワン

いぬのお店って、今どんな状態なの?

えっと……犬のみんなが喜びそうなものを探して、毎日がんばって販売してるワン!

もちろん、それはよく知ってるよ!
じゃあ、
「どんな犬がお店に来ているのか」
「どこから来て、どの商品を見ているのか」
「買ってくれた犬と、買わずに帰った犬では何が違うのか」
まで見たことはある?

うーん……。
売上は毎日見ているワン。あとは、カートの管理画面でアクセス数をさらっと見るくらいだワンね。

日々の受注対応や商品登録があると、なかなかじっくり見る時間は取れないよね。
でも、お店を大きく変えようとするときは、売上の合計だけではなく、その売上がどう作られているのかまで見ていく必要があるんだ。
たとえば、
- 売上金額
- 注文件数
- 客単価
- サイトへの訪問者数
- 購入率
- 新規客と再購入客の割合
- 売れている商品や時期
- お客様が購入前に見ているページ

などを順番に確認していくよ。
全部の数字を闇雲に見るのではなく、まず全体を見て、気になる部分を少しずつ深掘りしていくんだ。
STEP2:現状分析編
ナイスワンは、今どんな状態だワン?

じゃあ、ナイスワンの数字を見てみようか。
売上は……大きく落ちてはいないね。

やったワン!

ただ、大きく増えてもいないね。
単価も注文件数も、多少の上下はあるけど、ここ数年ほぼ横ばい。

サイトに来ているお客さんの数はどうワン?

広告を増やしたり、大きなキャンペーンをしたりしていないから、急に増えることはないけど、検索や以前からのお客さんが毎月ある程度来てくれている。
よくも悪くも、安定している状態だね。

じゃあ、そんなに悪くないワンね?

うん。今すぐ売上が落ちるような危険な状態ではなさそう。
でも、ひとつ気になることがあるよ。

何ワン?

ナイスワンでは、毎月新しいお客さんが買ってくれているよね。
ということは、去年買ってくれたお客さん、その前の年に買ってくれたお客さんと、購入経験のある犬たちは少しずつ増えているはずなんだ。

たしかにそうだワン。
新しく買ってくれる犬に加えて、以前買ってくれた犬も戻ってきてくれたら、売上は少しずつ積み上がっていきそうだワンね。

そう。でも、実際の売上はずっと横ばいなんだ。

……ということは?

初めて買ってくれるお客さんは毎月いるけど、その後もナイスワンで買い続けてくれるお客さんが、思ったほど増えていないのかもしれない。
新規のお客さんで、離れていくお客さんの分を毎月埋めている状態とも考えられるね。

ええっ。
ずっと安定していると思っていたけど、同じ犬たちがずっと買ってくれているわけじゃないかもしれないワンね……。

初回購入のお客さんと、再購入のお客さんに分けて見てみようか。

えーっと……。
本当だワン。初めて買ってくれた犬の数はあまり変わっていないけど、再購入してくれた犬の数も、ほとんど増えていないワン。

再購入の売上も横ばいだね。

でも、どうしてだワン?ごはんがおいしくなかったのかな……。

それも確認してみよう。
レビューや問い合わせ、返品の理由も見てみたけど、商品の評価は悪くないよ。
「よく食べてくれた」
「体調に合っているので、また購入したい」
「次も同じものを注文したい」
という声もある。

よかったワン……。
じゃあ、商品が嫌で離れているわけではなさそうワンね。

そうだね。
むしろ、もう一度購入したい気持ちはありそう。
ただ、問い合わせ内容を見ていると、気になるものが多いね。

どんな問い合わせワン?

「定期購入の配送間隔を変更したい」
「今月だけお休みしたい」
「次回だけ違う味に変更したい」
「どこから定期購入を止められるのかわからない」
といった問い合わせだね。

ああ……それ、よく来るワン。
今の定期購入は、マイページからできることが少ないんだワン。配送日の変更やスキップも、いぬに連絡してもらわないとできないことが多いワンね。

お客さんは、連絡をくれたら変更してもらえることを知っているのかな?

……たぶん、知らない犬も多いワン。面倒だと思って、そのまま受け取っている犬もいるかもしれないし、反対に、調整できないと思って定期購入をやめている犬もいるかもしれないワンね。

定期購入の継続回数も見てみよう。
最初の数回は続いているけど、途中で停止しているお客さんが多いね。商品が不要になったというより、生活に合わせて配送ペースを調整できず、続けにくくなっている可能性がありそう。

定期購入なら、自動でずっと買ってもらえると思っていたワン……。

定期購入の仕組みを用意するだけでは、続けてもらえるとは限らないんだ。お客さんによって、食べる量も違うし、旅行で家を空けることもある。途中で別の商品を試したくなることもある。
そういう変化に合わせられない定期購入は、便利な仕組みではなく、かえって負担になることもあるよ。

なるほどだワン……。

じゃあ、定期購入を使っていない犬には、また買ってもらえるような案内は送れている?

一応、メルマガは送ってるワン!
でも、今のメルマガは全員に同じ内容を送ることしかできないワンね。
おじいちゃん犬にすごく硬いおやつをおすすめしちゃったり、鶏肉アレルギーの犬に鶏肉のごはんを案内しちゃったりすることもあるワン……。

前に買った商品や、犬の年齢、アレルギー、購入から経過した日数などで、送り分けることはできないの?

今のシステムでは難しいワン。
だから、誰に何を送ればいいかわからなくて、結局セールのお知らせばかりになっちゃうワンね……。

メルマガの開封率自体は悪くないよ。
全員に関係するセールのお知らせを送ったときは、メールからサイトに戻ってきているお客さんもいる。
ということは、メルマガを読んでくれるお客さんがいないわけではないんだ。

購入した商品や犬の状態に合わせて、
「そろそろ前回のごはんがなくなる頃ではありませんか?」
「前回購入した商品と一緒に、こちらもよく選ばれています」
「シニア犬には、やわらかいこちらのおやつがおすすめです」
と案内できれば、また来てもらえる可能性はありそうだね。

それ、やりたいワン!

いずれウェアも扱ってみたいって言っていたよね。以前買ったサイズがわかれば、その犬に合いそうなウェアをLINEで写真付きで案内したりするのもいいかもしれない。

わあ、楽しそうだワン!
いぬもLINEを使うようになったけど、メルマガよりちょっと仲良くなれる感じがして好きだワン。

ナイスワンのお客さんとも相性がよさそうだね。
ただし、LINEを始めれば解決するというわけではないよ。
誰に、いつ、何を届けるのかを考え、それを実行できる仕組みが必要なんだ。
つまり、ナイスワンは商品に魅力がないからリピートされていないわけではなさそう。
「また買いたい」と思ってくれたお客さんがいても、
・定期購入を生活に合わせて変更しにくい
・続けるための手続きがわかりにくい
・通常購入したお客さんに適切な再購入案内を送れない
という仕組みの問題で、再購入を取りこぼしている可能性があるんだね。

今まで、お客さんを増やすことばかり考えていたワン。
でも、せっかく買ってくれた犬が、もう一度買いやすいお店になっているかは考えられていなかったワンね。

ここまで見えてくると、カートを変えるかどうかの判断もしやすくなるよ。
まずは今のカートで、
定期購入の変更やスキップをしやすくできないか
お客さんを購入商品や属性で分けられないか
メルマガやLINEを送り分けられないか
を確認する。
今のカートでも改善できるなら、急いで移行する必要はない。
一方で、ナイスワンがこれからリピーターを増やしていくうえで必要な機能がどうしても実現できないなら、そのとき初めてカート移行を検討すればいいんだ。

最初に「新しいカートに変えたい!」と思ったときとは、カートを選ぶ理由が全然違うワンね。

うん。
「今より高機能そうだから」ではなく、
「ナイスワンの課題を解決し、これからやりたいことを実現するために必要だから」
という理由で選べるようになるね!
(次回、市場・競合調査編)
今回のまとめ
今回は、サイトを作り直す前に、「今のナイスワンで何が起きているのか」を調べたワン。
売上だけを見ると、ナイスワンはずっと安定しているように見えたワン。
でも、新しく買ってくれる犬が毎月いるのに、再購入してくれる犬や再購入の売上は増えていなかったワンね。
もっと調べてみると、商品が気に入られていないわけではなかったワン。
「また買いたい」と思ってくれている犬はいるのに、
- 定期購入の配送ペースを変えにくい
- 一度だけお休みしたくても手続きがわかりにくい
- 買った商品や犬の年齢に合わせた案内を送れない
といった、お店の仕組みの問題で、再購入を取りこぼしている可能性が見えてきたワン。
最初はいぬも、
「新しいカートに変えたら、もっと売れるようになるかも!」と思っていたワン。
でも、先に必要だったのは、カートを選ぶことではなく、
「何を解決するために、どんな仕組みが必要なのか」
を見つけることだったワンね。
今のカートで解決できるなら、そのまま改善する。
どうしても実現できないなら、そのときに初めてカート移行を考える。
カート移行は目的ではなく、お店の課題を解決するためのひとつの手段なんだワン!
次回はいよいよ、
STEP3:市場・競合調査編!
犬用品のお店がたくさんある中で、ナイスワンはどんな犬たちに、どんな価値を届けられるのか。
お店の外にも目を向けて、調べてみるワン!
自社ECサイトのリニューアルをご検討の方は、ぜひへノブファクトリーにご相談ください!










