ヘノブには日々様々なお悩みが寄せられています。こういった場合、まずはコンサルタントがヒアリングさせていただき、状況を把握した上で、どうしたら良いかをアドバイスさせていただいています。
今回のご相談は、「ECリニューアルしたのに、何故か前年より売上が下がった」というものです。
※記事内に出てくるサイトの数字はイメージです。実際の数字とは異なります。
リニューアルしたのに何故か去年より売上が下がった、というご相談
お客様:最近リニューアルして、リニューアル後はセールもやったんですが、前年ほどは売れなくて、原因がわかりません。
リニューアルすれば売上が上がると思っていたので、ここからどうすればいいかわからなくて、、
ヘノブ:セールは前年も同じようにやっていたんですか?
お客様:はい、毎年同じ時期にやってます。
ヘノブ:集客方法は前年と同じですか?
お客様:はい、広告予算も前年と同じ額です。
ヘノブ:なるほど、ちょっとサイトを見てみましょう。
UIを見ると、明らかに前年より商品が探しやすくなっているので、これで売上が下がるのはちょっと解せないですね。詳しくデータを分析してみましょう。
ヘノブ:UIが良くなると通常はCVRが上がるので、まずはここをチェックします。
データ分析の結果、以下が判明
- 集客全体のCVRは下がっている
→気になる点として、ディスプレイ広告からの集客が大きく増えていて、リスティング広告、ダイレクト、自然検索からの集客が下がっている。 - CVRをみると、自然検索流入とダイレクト、リスティング広告からのCVRは改善してる
- CVRの低いディスプレイ広告の集客割合が増えた事で、全体のCVRは下がった

※実際は、さらに深い分析をして精度の高い根拠まで見ていますが、長くなるので、ここでは省略します。
ヘノブ:自然検索流入とダイレクト、リスティング広告からのCVRは改善しているので、「商品を探している人にとってはやはり商品が探しやすくなった」ということは言えます。
これは、リニューアルの効果と考えて良いでしょう。
お客様:なるほど、では、リニューアルは一応効果を発揮してるんですね。ここまで細かくは見てなかったので、てっきり失敗したのかと思っていました。リニューアル費用が無駄になっていなくて、ひとまず安心しました。。
でも、リニューアルが原因じゃないとすると、売上が下がった理由はなんでしょうか?
ヘノブ:広告予算は変えてないとのことでしたが、もしかして広告キャンペーンを大きく変えていませんか?
お客様:あ、はい。実は今年から広告代理店を変えました。
今まではリピーターへのアプローチも行ってましたが、代理店を変えてからは、新規客の獲得だけにしてもらっています。
ヘノブ:なるほど。原因がわかりました!
売上が下がった原因はこれ
原因はリニューアルではなく、広告による集客層が変わったため
そもそも、「集客」と一言で言っても以下のように、層によって購買意欲に大きく差がある。

上の層を集客するのと、下の層を集客するのでは、CVRが大きく異なる。
一人当たり集客するのにかかる金額(CPC)は、下に行くほど安くなる。
ヘノブ:おそらく、集客に関して前年と今年で次の違いが起きています。
前年
- 広告の内訳として、ディスプレイ広告予算とリスティング広告予算を半々で出していた
- リスティング広告はより商品購入に近い、明確層に向けて出ていたので、広告からのCVRが高かった
- ディスプレイ広告は、探していない人にも広く配信されるので、入ってくる人の購買意欲はまだ低く、CVRは低い。ただし、ディスプレイ広告でお店の存在を知った人の中で、明確層に引き上がる人が出て来た際に、リスティング広告が刈り取る役割を果たしていた。
- 去年はここの、認知〜集客〜購入のバランスが取れていた。


今年
- 「広告予算は変えていない」とのことだったので、おそらく新しい広告会社では、まだお店を知らない人により広く知らしめるために潜在層向けの広告割合を増やしたと思われる。
- 潜在層向けの広告はCPCが低いので、同じ広告予算でもたくさん集客できる。
- しかし、広告運用がずさんだったために、徐々にディスプレイ広告の効果が悪化し、認知拡大が上手くいかなくなったことで、刈り取りの役割を果たしていたリスティング広告も機能しなくなった。


ヘノブ:今年は、「認知→集客→検討引き上げ→購入」の流れが機能しなくなったと思われる動きとして、ダイレクト流入が去年と比べて大きく下がっています。
ダイレクト流入は、ブックマークやブラウザの履歴など、「良さそうだから、またサイトに戻ってきた」という動きです。
ここが減っているということは、明確層に引き上がる人が減った事を意味しています。
お客様:たしかに、ディスプレイ広告のバナーは、広告代理店を変えた当初に作ってもらったものをずっと使っていて、今見るとずいぶん古臭い印象になっています、、
ヘノブ:広告バナーは同じものを出し続けていると、ユーザーに見飽きられてしまい、だんだん効果が下がっていきますので、定期的に見直す必要があります。
さらに、リニューアルしてサイトのブランドイメージが代わったことで、さらにバナーとの印象のギャップが大きくなってしまっていますね。ここも効果が下がった理由の一つだと思います。
お客様:なるほど〜。広告はずっと変えていなかったので、まさか売上減少に影響してるとは思ってもみませんでした、、
そもそもほったらかしがダメってことですね、、お恥ずかしい。。
にしても、広告代理店に運用してもらっていたのに、広告が原因で売上が下がってるって代理店は気づかないものですかね?
ヘノブ:正直、気づかない会社の方が多いでしょうね(^^;)
一般的に広告代理店は広告効果しか見ていないので、今回のように、広告の直接影響ではなく、間接影響でダイレクト流入が大きく減った事で売上が下がっているような場合、広告代理店では気づいていないと思います。広告だけを見れば、広告の費用対効果は去年よりも良いので。
ちなみに、広告会社を変えた理由はなんだったのですか?
お客様:実は、、手数料を安いところに変えたのです。。
コストカットできても、広告運用の質が下がっては意味がないですね、、
ヘノブ:なるほど、極端に料金が安い場合は、最初にキャンペーン構築してから何もメンテナンスしてないこともあるので、安さだけで決めない方が良いですね。
ただでさえ、ここ数年でどの商材も広告の競合性が上がっているので、ほったらかしで効果が出続けるということはないと思ってもらった方が良いです。
お客様:原因がわかってよかったです!ご相談するまでは、リニューアルでデザインを変えてしまったのが良くなかったのかと思い、元に戻す方が良いのか??など迷走してましたが、誤った判断をせずに済みました。
まとめ
こちらの企業様には、この後、広告改善をご提案しました。
原因が明確になったので、きっとここから売上改善していけるでしょう。
サイト改善も、広告も、実施したら必ず細かくデータ検証を行いましょう。
良くなった場合は、何が影響したかを突き止められれば、次に活かせますし、悪くなった場合はいち早く悪影響を食い止めることができます。